「橋下徹研究」(産経新聞社大阪社会部編著 産経新聞社刊)を読みました。(再)

再掲出にあたっての追記9
NNNドキュメントで特集があったのですが、録画ミスで見られませんでした。でも、再掲出します。
そのまんま東(本名よりも、この芸名の方が、あの人間の活動にはふさわしいと私は思っているので、この名を用います)についても、触れていますが、少しだけ補足すると・・・どうしようもなくなって都知事選にでましたが相手にされず・・・ってとこですかね。


(2009.05.31-)

 「橋下徹研究」(産経新聞社大阪社会部編著 産経新聞社刊)を読みました。
 図書館で借りてきました。橋下氏の知事就任1周年を記念(?)しての出版のようです。
 およそ1/3が産経新聞社の取材と記事。1/3が投稿文書などを編集し、コメントしたもの、1/3が当選前後からおよそ1年間の知事の行動や発言を追ったものでした。

 橋下氏は、良くも悪くも、注目される知事の一人でしょう。
 国政選挙、特に参議院選挙での大阪には「タレント枠1」があり、指定席だという「指摘」を聞いたことがあります。そのこと自体は大阪らしくていいかなと、私は思いますが、全国がそうなったら、ちょっと怖いですね・・・。
 ただし、私はタレント知事だからどうこうという批判をするつもりはありません。

 宮崎県の東国原知事に対しては批判的な私ですが、その理由は以下にあります。
 第一は、任期を終えようとしないまま、あわよくば国政選挙に出馬しようとした(している・・・だと私は思っていますが・・・)こと
 第二は、宮崎県の宣伝のためというよりは、純粋なタレントとして各種の番組に出まくっている(これも、国政選挙に出馬しようとしていることの表れ・・・だと私は思っていますが・・・)こと
 第三は、地方から国を変えるといいつつ、例えば定額給付金の事務費負担のように、しばしば報道される発言が「国の予算にたかっているだけ」のように聞こえること
 などなどです。
 「そのまんま東」そのまんまになっている宮崎県知事の去就がどうなるかは、次の選挙なりでの宮崎県民の有権者による判断しかないのですが・・・・

 この本を読む以前の、私の「橋下徹」についての知識は、テレビでの情報以上のものはありませんでした。正確には興味もなかったというべきでしょうか? 今でも「はしもと」ではなく「はしした」と読みがちな私もいます。
 光市母子殺人事件の弁護団への発言については疑問を感じていましたが、それを鵜呑みして行動してしまう連中のほうがはるかに問題だと感じていますし・・・。
 さて、
 この一冊は、橋下氏のおいたちや弁護士活動、タレント活動などなども含め、記事にしています。一方で、特に当選してからの投稿文書なども(もちろん、編集側の意図があっての)紹介があり、その取り合わせが妙でした。知事のスケジュールを追った部分は、斜め読みでしたが・・・。

 人の経歴は、その人を現す鏡にもなりえるわけですが、橋下氏のそれは、氏の人となりをよく表現しているように思います。
 一言で表現すれば、橋下氏は「合目主義者」なのだと私は理解しました。
 ある目的のために行動する。幼い頃のそれは別として、高校進学、大学進学などなどでも、その片鱗は十分にうかがえます。さほど成績のよくなかったらしい氏が短期間(大学は一浪したようですが・・・)の猛勉強で、目的の学校に合格しているわけですから・・・。しかし、何よりも「合目主義者」としての氏を表現しているのは、わずか1年の「雇われ弁護士」で独立してのけた行動でしょう。
 このような行動は、実力が伴わない場合、たんなる妄想になってしまうのですが、氏はそれを実現してみせました。
 実現のためには、冷静さに裏づけされた計画力が必要になります。必要なことを必要な時に必要なだけ用意して行動する。裏返して言えば、不必要な行動はしないということになります。特に情緒的な面では、面白くない行動を取り、極めて攻撃的な発言をする時もあるはずでしょう。
 必定、どこかに、特に人間関係においては、しばしば軋轢を生むわけで、雇われ弁護士当時の上司や、独立後の部下弁護士(二人いるそうですが、1年で辞めたと本書にはあります。)が、批判的な言動に聞こえるような発言に終始するのも、なんとなく納得です。
 唯一、橋下氏が「合目主義者」の面を完全に捨てるのは、妻の前だけ・・なのかもしれません。あるいは、双方ともそういう(合目主義な)人なのかな・・・。とすれば、か・な・り、幸せな夫婦なのかもしれません。
 こう考えると、橋下氏の行動や発言は、理解できるようになりました。
少なくとも、同じタレント知事としての、横山ノック氏と比較するのは妥当ではない・・・と思います。もちろん、典型的な自己愛(かもしれない?)元長野県知事の田中康夫氏や、宮崎県知事というよりはタレントとなった東国原氏との比較も、です。

 橋下氏が何の目的で「大阪府知事」になったのかは、正直なところ、この本からはわかりませんでした。もちろん、選挙では「大阪のため」のわけですが・・・。
 しかし、大阪府は多大な負債に苦しんでいます。それをなんとかするという意味では、橋下氏は適任の可能性は大きいと思います。

 橋下氏は石原東京都知事を評価しているかのような記載もありました。事実かどうかは、わかりません。よってたつところが、有権者からの高い支持率というところでは、似通っているのは事実でしょう。
 その石原氏は、かつて国会議員だった一時期、小なりとはいえ、派閥を率いていました。それは、前任の領袖(たしか、先の酔っ払い大臣の父親?)が自殺した結果だったわけですが、一応は総裁候補として討論会なんかに出ていたはずです。今の総理・麻生太郎氏は小なりとはいえ派閥を率いていますが、当時の石原氏は、そんな存在だったのかもしれません。
 しかし、その派閥は、数年と持たずに大派閥に吸収されました。派中派になって大を乗っ取るのであれば、それは総理総裁になるための手段だったでしょうが、その後の石原氏は、その派閥のご意見番みたいな存在(つまり、こうるさい爺だ、好きなことだけ言わせてやれ、という、相手にされない状況)となっただけのように思います。
 理由はともかく、少なくとも石原氏は多数決を原則とする民主主義の中では、支持を集めることができなかった・・・ということでしょう。
 その為でしょうが、その後の石原氏は、長期在任表彰を受けた途端、国会議員を辞しましたが、その時の演説、とても20年間も議員として活動してきた人のそれとは思えませんでした。)つまり、そんなこと言うんなら、なんで長期表彰を受けるほど、議員やっとんねんということですね。)
 国会議員を辞した石原氏は、数年後に(かなり久しぶりに)東京都知事に立候補し、当選しました。
 「人気がある」いうことと「領袖としての実力がある」ということは似て非なる一例です。このことは否定すべき要因だけではないわけですが、議会制民主主義をとっている私たちの国によっては、石原氏のような存在への評価は難しいものがあるように思います。小泉純一郎氏や田中真紀子氏へのそれと同様にですね。
 端的に表現すれば、石原氏は大統領にはなれますが、総理大臣にはなれない・・・わけですね。
 
 橋下氏が、どのような形で石原氏を評価しているのかはわかりませんが、それは、石原氏のこのような経歴を知りつつの、合目主義者としての視点からであるように、私は感じます。
 深読みすれば、自分をベタほめしてくれた石原氏への、冷静な判断によるリップサービスかもしれません。まあ、石原氏も敬愛されていい気分だったのでの発言でしょうが・・・。

 さて、橋下氏はこれからどうするのか。
 合目主義者としての氏は、国会議員を目指す可能性は小さいように思います。新鮮味のなくなった、つまり、マスメディアからはほとんど相手にされなくなった東国原氏が、事実上の「売名行動」として各種の番組に出まくっているのとは対照的に、きわめてマスメディアへの露出を控えているのも、その表れではないでしょうか。
 そんな氏の行動の裏には、露出のしすぎは逆効果だという、冷静な判断力と計画力があるように、私は感じます。いずれ、改選時期が来れば、多少の露出は増えるでしょうが・・・。
 橋下氏が、その合目主義者としての面目を躍如し、少なくとも大阪府の赤字を改善させることを祈りはします。郵政民営化という一点で高い支持率を維持し、それを成し遂げた小泉氏のような存在かもしれません。
ですが、政治家としての、それ以上の期待を橋下氏にしていいのかどうか、は少し疑問にも思います。
 合目主義者はしばしば、独裁者になりますからね・・・。
 その時、議会が氏の行動を抑制できるかは、案外と重要です。独裁者(?)としての石原氏は、五輪開催を話題にすることで、都議会の矛先を弱め、なんとか立場を維持しているように感じますが・・・。

 記載のほとんどが、引用とそれに対する編著者側のコメントみたいなもので、内容的には「消化不良」のような本でしたが、それはそれでいいと思います。
 いろいろと考えさせられる一冊ではありました。

 余談ですが、
 記載の中で、「朝日と産経。タイプの異なる新聞社」というような表現がありました。マスメディアは多様であることを自覚しているような内容で、私は(珍しくも)産経新聞社に共感を持ちました。
 マスメディアには、そして、ジャーナリストも、本来は多様なものなのです。私流に言えば、「真実は複数、事実は一つ」です。
 恐ろしいのは、自分とは異なるものを認めない絶対の主張として、自らの存在や論理を展開し始めた時でしょう。これも私流に言えば、「事実は複数、真実は一つ」です。
 その時は、文字通り「ジャーナリズムが権力となる」時でもあるのではないでしょうか。
 「批判することには慣れていても、批判されることには慣れていない」人達のように・・・。って、この本には、同じような表現が橋下氏に対してもあったかな・・・。


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